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wecde83
02-25-2010, 07:48 AM
Hi, found this story on the net, sadly it's written in japanese so i just tried to translate it with some online translator, but that really sucked, so if someone could translate that, it'd be really appreciated!

勝利のル-プシュ-ト


「いいか、おまえら! 死んでもVゴール決めろよ!」
監督の顔が真っ青になっている。
「今日という今日は、絶対に負けられねえんだ。もし、俺に恥をかかせてみろ。そんときゃ……
分かってるよな?」
怒りの表情が、不気味な薄ら笑いに変わった。
私たちは、額を流れる汗を拭うことも許されず、直立不動のまま、心臓が凍る思いでその罵声
を聞いている。
メートルほど離れた相手のベンチ前では、タオルで汗を拭ったり、スポーツドリンクを飲ん

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だり、マッサージを受けたりしている選手たちが、驚きや侮蔑や同情の入り交じった眼を、ちら
ちらとこちらに向けている。
「分かってるんなら、返事しろ!」
「はいっ!」
控え選手も含めて、全員が大声をはりあげた。観客席から失笑が漏れた。
××杯女子ユースクラブチーム選手権○○県予選の決勝戦。

1対1の苦しい戦いだった。分を過ぎても決着が着かず、延長戦に突入した。

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監督の吉岡は、この大会が始まる一ヵ月前、前監督が地域リーグ一1部の社会人チームに引き
抜かれた後釜として、私たちのチームにやってきた。歳。名門大学の主力選手としてJリーグ

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入りも夢ではなかったというが、大学選手権で左膝を傷め、結局選手生活を断念し、コーチの道
に入ったというが、実は、性格に問題がありすぎて、どのクラブも獲得に動かなかったというの
が実情のようだ。
吉岡は、一言でいうと異常人格だった。練習の厳しさは、前監督時代とは比較にならない。ハ
ードなのはもちろんだが、いまどき、こんな前時代的な訓練を課すコーチがいるのか、と呆然と
するくらい、横暴だった。紅白戦の最中にいきなり笛を吹いてプレイを止めさせ、ミスした選手
に平手打ちを喰わせるくらいはまだいいほうだ。茶髪にしていた選手を練習後に一人呼び寄せ、
いきなりおっぱいをつかんで、
「え? 高校生のくせに色気づきやがって。どうせ援交やってんだろ? 毎晩、ホストクラブ通
いか? お前はスポーツ選手なんだぞ。女じゃねえんだよ」
と怒鳴りながら、いきなり股間を撫でたという。彼女はショックのあまり、チームをやめてし
まった。
他にも、やめていった選手は多い。だが、吉岡は平然として言った。
「、。。」下手くそが何人いたってしゃあねえよ少数精鋭で勝ちにゆくそれが俺のやり方なんだよ

彼は、地元のサッカー協会会長の甥なのだ。やめていった選手は、別のクラブを探したが、こ
とごとく妨害された。
彼には逆らえない。悔しいが、その現実を受け入れるしかなかった。
チームは勝ち進んだ。もともと、優勝候補だ。組み合わせにも恵まれた。当然、彼の叔父の政
治力が働いたのだろう。他の優勝候補が主力選手の怪我で番狂わせで敗退したり、あやしい誤審
があったり、ツイているというより、見えない手が働いているような印象もあった。
ホイッスルが鳴った。私たちのキックオフだ。私は、ピッチに入り、センターサークルで相棒
のFWの香緒里と並んで立った。
「あの野郎……」
肩幅の広い長身の香緒里は呻くように呟き、ピッチに唾をはいた。
「勝ちたいって気が起こらない……」
「だめだよ」
私はなだめた。
「負けたら、何されるか……」
ホイッスルが鳴った。私はちょこんと前にボールを突き出し、香緒里が中盤に戻し、私たちは
一気に敵陣へとかけあがった。

ボランチから、ロングフィードが前線に出る。香緒里がボスト役になって、ヘッドで私にボー
ルを渡す。目の前にスペースがあった。ゴールが見えた。
私は、思い切りボールをシュートした。つもりだったが、疲労のため足がもつれた。シュート
ミス。尻餅をついた。寄せてきた相手ディフェンダーがボールを拾い、前線にフィード。
相手のFWが、ボールを受け、ドリブルで私たちのゴールに迫った。スピードのあるテクニシ
ャンだ。だが、私たちのDFの由紀が巧みにボールを奪った。焦った相手が、背後からスライデ
ィング。由紀がもんどりうって倒れた。
ホイッスル。相手FWにイエローカードがつきつけられる。私たちのフリーキックだ。だが、
異変が起こった。由紀が、足首を抑えたまま、動けないでいる。
由紀は担架に乗せられ、ピッチを出た。駆け寄った医者が、両手でバツマークをつくる。吉岡
は真っ青になった。由紀は、私たちのチームのティフェンスの要なのだ。吉岡のハードすぎるト
レーニングのため、控え選手も怪我人が多い。
吉岡は選手交代を第四の審判に要請した。靖子が呼ばれた。小柄でそばかすだらけの、気の弱
い子だ。いつも、吉岡にいじめられていた。どう見ても、彼女をいじめて面白がっているとしか
思えなかった。
吉岡がニヤニヤしながら、靖子に話しかけている。アドバイスを与えている表情ではない。靖
子の脚が小刻みに震え出した。プレーが止まり、靖子はピッチに入っていった。

「大丈夫だよ、靖子!」
香緒里が叫んだ。そして、私に囁いた。
「。、、。私が後ろにさがって守備するあの様子じゃとてもじゃないけどプレーなんかできないよ
あんたはトップに張って、カウンターのボール受けて」
私はスピードはそこそこあるが、フィジカルは強くない。相手のプレスを受けながらボールキ
ープするのは苦手だ。だが、こちんこちんにこわばっている靖子を見ると、そうするしかない、
という気にさせられた。
なんで吉岡は、初出場の靖子をわざわざ緊張させるのだろう。こんなとき、前監督、いや、こ
れまで所属してきたどんなチームのコーチも、選手をリラックスさせ、勇気づけるよう務めてい
た。この男は、ほんとうに勝ちたいのだろうか。それとも、私たちを怖がらせ、独裁者然として
いることに快感を感じているだけだろうか。
試合が再開された。相手のミッドフィルダーたちがショートパスを交換しながら、私たちのゴ
ールに攻め込んだ。そのパスをカットしたのは香緒里だった。
「美紀!」
、。。、彼女が私の名前を叫び前線に大きく蹴りだした私は必死に落下点に向かって走っただが
二人のディフェンダーに挟まれた。重い衝撃が左右から襲ってくる。私はピッチに這いつくばっ
た。笛は吹かれなかった。

相手チームのカウンター。トップ下の選手がボールを受け、交代で入ったばかりの靖子めがけ
てドリブルを仕掛ける。靖子は無我夢中でタックルした。タイミングはやすぎ! あっさりかわ
された。
と、その前に香緒里がたちはだかった。相手はすっと左に抜ける。香緒里が右脚を大きくのば
した。足首と足首が交差した。相手選手が前のめりに倒れる。いけない、ペナルティエリア内!
審判が大きく右腕を差し上げ、笛を吹いた。
PK……!
吉岡がライン際に走り寄り、大声でわめいた。
この馬鹿! ドブス! 何やってやがる!
線審が顔をしかめ、吉岡に近寄って宥めようとした。すると、吉岡は線審を殴りつけたのだ。
主審が駆け寄り、レッドカードをつきつける。吉岡は真っ赤になってわめきながら、役員に控
室に連れだされた。
最悪……。
私は頭を抱え、天を仰いだ。
「この、ばっかやろう!」
パーンと派手な音が響き、香緒里が頬を抑えて床に転がった。

「てめえ、サッカーなんざ、やめちまえ!」
吉岡が、香緒里の背中を蹴った。香緒里は顔を歪め、苦しそうに腹這いになった。
「お前のポジションはどこだ? フォワードだろうが! フォワードがなんで、あんなとこで守
備してんだよ!」
吉岡がまた、香緒里の脇腹を蹴った。
「やめてください!」
靖子が、吉岡と香緒里との間に割って入った。
「香緒里先輩は、私のカバーをしてくれて……私のせいです」
「そうだよ、おめえのせいだよ!」
吉岡は足をあげ、スパイクの底を、膝をついた靖子の頬に押しつけた。
「おめえらのせいで、負けちまったじゃねえかよ。全国大会に出て、いい成績残して名門から引
き抜かれるっていう、俺のドリーム、どうしてくれんだよ」
吉岡が靖子の顔を蹴った。靖子は仰向けに倒れた。唇が切れ、血が吹き出していた。
私は、拳を握りしめ、ぶるぶる震えていた。
怒りではない。怖かったのだ。彼の怒りの矛先が、いつ私に向けられるか、と不安でならなか
った。
だから、吉岡が例の薄笑いを浮かべて私に視線を向けたとき、背筋が凍りつくような思いだっ

た。
「おい、おまえ……」
吉岡はツカツカと私に近寄った。
「もとはといえば、お前がボール奪われたのがきっかけだったよな……」
吉岡が私の髪の毛をつかんで引っ張った。涙が出るくらい痛かった。
「さんざんシュートミスするわ、ポストも満足にできないわ……。おまえ、最低のフォワードだ
よ」
私は眼をつぶり、全身の筋肉を固くして、次に襲ってくる激痛に備えた。よくて、平手打ち。
最悪の場合……。
そのとき。
「いってえ!」
私の髪の毛をつかんでいた吉岡の手が離れた。私は眼をあけた。吉岡が、古傷の左膝を抑えて
床にうずくまっていた。
その背後に香緒里が立っていた。顔を上記させ、怒りを押し殺した表情で吉岡を見下ろしてい
た。
彼女が、吉岡の左膝を蹴り飛ばしたのだ。
「いい加減にしろよな……」

香緒里は呻いた。
「だいたい、お前が無茶な練習やって、けが人増やしたのが原因じゃねえかよ……」
「な、何するんだあ!」
吉岡が甲高い声で叫んだ。香緒里を見上げた顔が……なんと、泣いていた。
私たちは顔を見合わせた。それまでのこわもてが消え、いじめられる弱虫小僧のようだった。
「よ、よくもやったなあ! ぼくの叔父さんは、ここのサッカー協会会長だぞ! 叔父さんに言
いつけてやるう!」
「言いつけてみなよ……」
声がした。控室のドアが開いた。
「ユカリ!」
私たちは叫んだ。茶髪を咎められ、おっぱいを掴まれ、大事な場所を撫でられてやめた子だ。
レザーのミニスカートに豹柄のタンクトップ。髪の毛を金色にして、ギンギンに化粧している。
「おまえがやったこと、週刊誌にばらすぞ」
彼女の手に小型テープレコーダーが握られていた。
「……ぼくのやったこと……」
「おまえ、あれからも、他の子の体さわったり、暴力振るったりしたろ? 部室にこれ隠してお
いて、全部録音させてもらったよ。大会中に公表するのは士気にかかわると思って自重してたけ

どよ。どうせ負けたんだ。もう、黙っていられないんだよ」
吉岡は顔面蒼白で、ガタガタ震えている。
「ユカリ……やったね!」
香緒里がユカリに抱きついた。
私たちはわっとユカリに駆け寄り、体を叩き、彼女の功績を褒めたたえた。
「もう、我慢することはないよ。思い切り、仕返ししてやろうぜ」
「どうする?」
「ボコろうよ」
「ただ、ボコッたんじゃ面白くないよね」
「そうだ!」
負傷退場した由紀が叫んだ。
「私たち、サッカー選手だよね。サッカーって何をするスポーツ?」
「え、ボール蹴って……」
「そ、こいつのボール、蹴ってやろうよ!」
一瞬、静まった。それから歓声が沸き起こった。
「やろうやろう」
「あれ、潰れると、男でなくなるんだよね」

「そうそう。すっげえ痛いらしいよ」
「私たちが味わった痛みを、味わってもらおうね」
「わあ!」
選手全員に詰め寄られ、吉岡はタジタジとなって後ずさった。
「や、やめてくれ……そ、それだけはやめてー」
私たちは目配せしあい、そーれ、と掛け声とともに吉岡にとびかかった。十数人がかりで吉岡
を押さえつけた。吉岡の両手両足に三~四人くらいずつがすがりつき、股を開いたかっこうで床
に仰向けに固定した。
部屋の隅で、靖子だけがぽつんと立っていた。眼を見開き、驚いた表情だった。
「なにやってんのよ、靖子!」
私は叫んだ。
「こっち来て、蹴ってやんなよ」
そうだよ、靖子、やっちゃえ! やっちゃえ!
全員が彼女を誘った。靖子は、最初は当惑していたが、やがて「いいのかな?」と呟いた。、
「いいよ。まず、あんただよ」
ユカリが励ました。
靖子は、おずおずと、しかし強い足どりで、吉岡の股間に立った

「う……うぐ……」
吉岡が何か叫んだが、口は塞がれていた。
靖子が、まだピッチの土のついた右足のスパイクの裏を見せた。視線が、吉岡のジャージにわ
ずかにもっこり盛り上がったその箇所に注がれていた。
「えい!」
靖子のスパイクが吉岡の股間に叩きつけられた。吉岡がくぐもった呻きをあげた。
「だめだめ、そこ、玉じゃないよ」
ユカリが言った。
「え、そうなの?」
香緒里が訊ねた。
「うん。そこはおちんちんだよ」
「よく、しってんね~」
由紀がからかうように言い、みんなどっと笑った。
私も笑った。女の子は、いざとなると残酷なのだ。
「あ、でも、血が出てるよ」
白いジャージの股間にちっちゃな赤い点が滲み出ていた。
「皮が破けたのかな」

「なんだ、ミスキックじゃん」
それでも凄い。チームでもキック力の弱い靖子なのに。
スパイクをはくことで、私たちは戦闘モードに入れる。普通の女の子じゃない、体をぶつけあ
う芝生の上の格闘技、サッカーの選手になる。
なめんじゃないよ!
「やっぱり痛いよね。冷や汗かいてるし」
「でも、玉ほどは痛くないみたいよ」
「よし、今度は、玉を狙いな」
「で……でも……」
靖子がまた当惑した表情になった。
「あそか。玉の位置ってどのへんなの?」
香緒里がユカリに訊ねた。
「う~ん」
ユカリが吉岡の股間を見つめて一瞬考えこんだ。彼女には彼氏がいるのは知っていたけど、す
ぐに男の性器のありかをジャージの上から特定できるほど、経験は多くないみたいだった。
「このへんかな」
、、。ユカリが首から下げていた携帯電話のさきっちょでちょんちょんと吉岡の股間をつついた

吉岡は顔をぶるぶる震わせ、眼から涙をこぼしている。
「あ、これだ。これこれ」
血が滲み出ている3センチほど下を、ユカリは指さした。
「ここだよ。今度はよく狙って」
「インステップで、ちゃ~んと蹴るんだよ」
靖子のそばかすだらけの顔が輝いた。直接フリーキックを蹴る直前のベッカムのような神妙な
顔つきで、呼吸を整えた。
「えい!」
ドスっと音が響いた。彼女の爪先が吉岡の股間をとらえた瞬間、彼はおおきく腹を突き出して
のけぞり、激しく痙攣した。
「やったあ!」
全員が歓声をあげた。
「当たったみたい……」
靖子は息を弾ませ、肩を大きく上下させ、興奮していた。
「よおし、次は誰?」
香緒里が周囲を見回し、それから、眼をぎゅっとつむり、激痛に耐えているらしい吉岡の耳元
で言った。

全員、順番こで蹴るからね。覚悟しな」
「どの順番でやる?」
「背番号順じゃない?」
う~ん。私の背番号は。いちばん最後になる。

22

決め技は、小学校のときに一度だけ成功したループシュート。アウトにひっかけて、すくいあ
げるように……。
それまで、潰れないでいてくれますように。